「自立の弊害」 | 002
より具体的に観てみましょう。
現在(2005年)において、各企業体ではいわゆる「団塊の世代」の雇用延長が検討されています。それは今まで常識であった「終身雇用」の system はこの国ではもう機能していないと言われていますが、現実では、企業側としても今まで「教育」してきた cost & benefit から言っても、また新たに若い新卒者を「採用」し「教育」するよりは「 risk 」はありません。
すなわち、新卒者や若者の「採用」の幅はどんどん狭くなっています。例えば、幼い頃から「勉強して、いい学校に言って、いい会社に入りなさい」と嘯かれて、そのままを実践した結果、いくら就職活動をしてみても、その中の一社すら採用はされないという状況が多くあります。 また運良く採用されて、一番の若手としていろいろな業務を関わったとして、朝早くから夜遅くまで働いて、「下が入ってきたら楽になるよ」と言われていたとしても、上記の条件で新規採用の幅が狭くなり、ずっとそのままの状態に置かれたとしたら。
それに加えて、報告されたのがこの国の年間の自殺者の数 3,9325人(2005年6月16日警察庁統計資料)。特に多いのが「50歳~60歳」と言う現実。 上記のように「頑張れば何とかなる」という「高度成長化モデル」の<希望>のある context 内では「それは甘えだ」という announce はひょっとしたら 有効かもしれませんが、「成熟社会モデル」では有効ではないし、その<希望>はもはや自明ではありません。
ここでは『一部』の例しか挙げていませんが、< neet >の人すべてが仕事をしないことを好んで選択しているわけでもなく、今後の生活に対して余裕を持って構えてるからでもありません。
<焦燥感>と呼んでも良い、むしろ
『働きたくても働けない』
ことからくる、一種の< あきらめ >に近い状態なのです。 言い換えるならば、
「心の奥底に深い孤立感と漠然とした自信の喪失感」
を感じています。
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現在わたしたちが受ける announcement は最悪です。
例えばこのように、訳知りのコメンテーターや構造無知の自覚のない評論家が具体的な検証もせず勝手に『持論』を垂れ流したり、マスコミの記事も「本当に正しいのか」という<弁証法的>考察も行われず、どんどん偏った『情報』を掲載しています。この問題に限らず、「理解不能であると思われるモノ」を<排除>して「ハイ、解決」という風潮が見られます。
同著のように、ちゃんとしたデータを基にした検証や報告も販売されていますし、今回は取り上げませんでしたがこの問題に関してのマスコミで語られない具体的な解決策や一部地方自治体、NPO などの取り組みも多く記述されています。 興味がある方は同著および参考文献をご覧下さい。
「彼らは人生を放棄したわけではない立ち止まって、自分の目を探しているのだ」
「村上 龍 同著オビコメントより」
「だから僕は、小説家の作業にとって一番大切なのは、待つことじゃないかと思うんです。何を書くべきかというよりも、むしろ何を書かないでいるべきか。書く時期が問題じゃなくて、書かない時期が問題なんじゃないかと。小説を書いていない時間にどれだけのものを小説的に、自分の体内に詰め込んでいけるかということが、結果的にすごく大きな意味を持っていますね。
だから僕は一応小説家だけれど、小説を書かない時間を意図的に結構長くとっているんです。スパンを長くとって均してみれば、小説を書いている時期よりも、小説を書いていない時期の方がずっと長いと思いますね。
(中略)
そして小説を書くべき時期が来たと思ったら、他のことを全部放り出して、徹底的に小説を書くことに集中する。」
「村上 春樹 ロング・インタビュー 文藝界 P183」より
「親しい人の自立は、その近くにいる人を救うんです。一人で生きていけるようになること。それだけが、誰か親しい人を結果的に救うんです。」
「誰かを救うということで自分も救われる、という常識がこの社会に蔓延しているが、その弊害は大きい。そういった考え方は自立を阻害する場合がある」
「最後の家族」 村上 龍著 P284, P322 より
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ひょとしたら、「自分には関係ない」という考えは実は間違っているのかもしれません。何故なら<私>たちひとりひとりは、<社会>の構成要素なのですから。
しかし、私は<社会全体>に向けて、伝えるべき、語るべき<言葉>は持っていません。
::: references :::「ニート―フリーターでもなく失業者でもなく」
玄田 有史 (著), 曲沼 美恵 (著) 幻冬舎 ISBN: 4344006380「希望格差社会 「負け組」の絶望感が日本を引き裂く」
山田 昌弘 (著) 筑摩書房 ISBN: 4480863605「仕事のなかの曖昧な不安 ― 揺れる若年の現在」
玄田 有史 (著) 中央公論新社 ISBN: 4120032175「会社はこれからどうなるのか」
岩井 克人 (著) 平凡社 ISBN: 4582829775「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」
村上 春樹 (著) 新潮社 ISBN: 4101001510「村上春樹、河合隼雄に会いにいく」
河合 隼雄 (著), 村上 春樹 (著) 新潮社 ISBN: 4101001456「無意識の構造」
河合 隼雄 (著) 中央公論新社 ISBN: 4121004817「最後の家族」
村上 龍 (著) 幻冬舎 ISBN: 4344403576「村上龍対談集 存在の耐えがたきサルサ」
村上 龍 (著) 文芸春秋 ISBN: 4167190044「13歳のハローワーク」
村上 龍 (著) 幻冬舎 ISBN: 4344004299「宮台真司 interviews」
宮台 真司 (著) 世界書院 ISBN: 4792720788「絶望から出発しよう That's Japan」
宮台 真司 (著) ウェイツ ISBN: 4901391305「安心社会から信頼社会へ ― 日本型システムの行方」
山岸 俊男 (著) 中央公論新社 ISBN: 4121014790「弁証法はどういう科学か」
三浦 つとむ (著) 講談社 ISBN: 4061155598「先生はえらい」
内田 樹 (著) 筑摩書房 ISBN: 4480687025「マル激トークオンデマンド・ビデオニュースドットコム」
第206回 [2005年3月11日] ニートが投げかける日本の構造問題の深層
http://www.videonews.com/警視庁発表 H.16 中における自殺者の概要資料
http://www.npa.go.jp/toukei/chiiki5/jisatu.pdf少年犯罪データベース
http://kangaeru.s59.xrea.com/内田 樹の研究室
2005年05月19日 「資本主義の黄昏」
http://blog.tatsuru.com/archives/000995.php



